スーツには後ろの裾の部分に切れ込みが入っていますが、これは「ベント」と呼ばれています。
このベントはそもそもどのような役割を果たし、ジャケットを着るときに気にしなければならないものなのでしょうか?
ベントの種類
一般的にベントの種類は、真ん中に切れ込みのあるセンターベントと両脇に入っているサイドベンツの2種類があります。(複数系なのでベンツに。。)切れ目のないノーベントというものもあるのですが、こちらは主に冠婚葬祭などのフォーマルな場面で使われビジネスシーンではあまり見かけません。
センターベント
真ん中に切れ込みがあります。
軽やかな印象で、どちらかというと細身のシルエットによく似合います。
サイドベンツ
両脇に切れ込みがあります。
ポケットに手を入れてもシルエットはきれいになります。
威厳のある印象で、マッチョ体型だとボリュームがあるので両サイドに切れ込みがあったほうが動きやすく、形もきれいになります。
ベントの成り立ち
そもそもベントの由来はというと、スーツの起源である貴族時代まで遡らなくてはいけません。
その昔、貴族は膝まである上着を着ていました。しかし、その上着を着ていたままだと馬に乗るのに裾が馬の鞍に当たったりと非常に邪魔で不便だったため、そこでセンターベントという工夫がみられました。馬に乗る時にも、切れ込みがあるため乗りやすく、馬に乗って後ろから見ると鞍に当たることなく、上着が左右に分かれて収まるためとてもきれいに見えました。この乗馬が起源ということからスポーティーな印象があります。
サイドベンツは軍隊が腰に収めているサーベルがきれいに収まるように施されたのが起源になります。軍隊が起源なため威厳のある印象があります。
このように実はベントによって由来が違うために用途や印象も変わってきます。
現代では当然馬に乗るわけでもなければ、サーベルを腰に収めることもありません。それだけでなく、昔のコートのような長い上着ではベントがあると便利だったのですが、現在のお尻の長さのジャケットだとベント自体が不要です。
なのでルーツにこだわる必要なく、強いて言うならばその日に合う相手に合わせて、どのような印象を与えたいかで、ベントの種類を分けて着こなしていければいいと思います。しかし実際は、そこまで考えることなく自分が着た時にどちらのほうが好みに合うかで全然かまわないです。
後ろから見られたときに結構印象は変わってくるので、「ベント」に意識して着こなせるようになれば、もう完全なおしゃれ上級者ですネ!